東洋趣味のフランス額装
- ke1k0-sa1to
- 2023年9月22日
- 読了時間: 3分

フランス額装は、飾りたいもの(sujet)を引立てるようにデザインをします。それが、アーティストの作品であれば、あまりマットなどで装飾するのは難しいかもしれません。マットに使用する素材を慎重に選んだり、シンプルなデザインでより作品を引立てるように、考えます。
遊び要素の強いものであれば、POPな素材を選んだり、色合いでも呼応させて作り上げたりできそうです。
この写真の額装は、どちらかというと東洋趣味のマットがつくりたくて、このsujetを選びました。三井記念美術館の小村雪岱の木版画のポストカードです。
ポストカードはいろいろな種類の作品がありますし、大きさも小さいので、規格サイズのインチ額に納まりやすく、使いやすいですね。インチ額は、額縁店に通常おいてあるので、思い立ったときに買い求めやすいです。
このマットについてですが、祖母の着物をたくさんいただいた時期がありまして、その中の 泥大島紬を使いました。わたしは着丈が長いので、祖母の着物と羽織をほどいて、着物に仕立て直してもらって、その残り、もうボロボロだったのですが、後日、絹地の裏打ちを習ったときに裏打ちしてありました。その紬をマットに使用したい、という気持ちが1番中心で こんな感じの東洋趣味のフランス額装に仕上がりました。
フランス額装の素敵なところは、思い出をどんな形でも額の中にいれて保存することができる、と言うところがあると思います。たぶん、この紬も sujetに使い、この紬中心にフランス額装をデザインしてもよいはずです。でも マットに使う、ということで また世界を変化させ、飾る楽しみになり、シンプルな額でも みて楽しい仕上りになりました。
ただ絹は、扱いが難しく、麻や木綿のように糊で台紙に貼り付けようとすると、繊維のあいだから糊が染み出てきます。注意が必要です。ですから、裏打ちといって、前もって和紙にデンプン糊でのり付けするか、アイロンで糊づける簡単な裏打ちシート、額装用の両面シートなどを使用して下準備をすればよいでしょう。

このフランス額装も、東洋趣味に仕上げました。ポストカードが、和傘の木版画ですので紬の縦糸が雨のようにみえる紬をしようしました。こうやっていつも考えていると、どんな端切れも大切で捨てられません。
私は、フランスの文化も大好きなのですが、実は、日本の文化も大好きです。お茶や日本画や、着物、漆などなど。ですので、フランスと日本という好きな物が融合した東洋趣味的な感覚を持っているのか、と思うほど 気持ちにしっくりします。
以前、フランスの地方でマーブル紙のスタージュに参加したとき、自分で色を混ぜて使いたい色をつくったのですが、フランス人のマリアンヌ先生が、その色はオモシロイ、いい色ですね、と言ってくださいました。私には普通な緑だったのですが。多分、東洋的な色合いだったのでしょう。いっしょに参加したフランス人の方達もちょっと使わせて、といってくださり、東洋的緑をみんなで使い、先生もわたしが仕事を終えたとき 大切に瓶にいれてご自分の色の瓶の仲間にいれてくださいました。
その人の1人1人の持つ感覚は違います。民族によっても根本的に違うのか、とその時思いました。でもそれはとても面白くて、東洋的なフランス額装を探求していくのは、意味深いと思います。
そうやって、フランス額装に向き合いながら、自分の好きな世界をみつけていくのです。



コメント